症状ごとの治療法・治療例

脊髄•脊椎の整形外科疾患と排尿について

 「人間が排尿する」ということは、生来ある機能ではありません。「しつけと練習の結果」イヌ・ネコの動物と大きく異なる「排尿の型」を身につけたものです。タイミングを見計らい(団体生活を乱さない)、トイレ(排泄する場所)へ行き(他者に見られないよう・音も聞かれないよう、下着を降ろし周囲を汚さず)排泄し、尿道口を清潔にし、下着を戻し、何喰わない顔で、元の位置に戻ってきます。無意識のうちになされているようですが、実に複雑な神経系統(トイレヘの移動・排尿反射の調節)の働きがあるわけです。これが神経系統の病気や老化や泌尿器科疾患などで「ズレ」てくると、「失禁・頻尿・排尿困難など」が起きてきます。

 整形外科的脊髄・脊椎の疾患(腫瘍・炎症・脊柱管狭窄・ヘルニア併せて老化など)では、手足が痺れたり、ふらつきが来たりの運動症状がでてきますが、実は合わせて、排尿の神経系統にも「シビレ」が起きていることがあります。神経そのものの損傷や、神経の圧迫でいろいろなバランスで障害が起きてくるわけです。排尿に関係する神経では、大脳は無意識のうちに尿の貯まった感覚から、何時・どこで排尿するか、常に考え堪えています(これを抑制的と言います)。交感神経は、膀脱平滑筋を緩め、内尿道括約筋を収縮させて尿を貯めておき(蓄尿)ます。副交感神経は膀脱平滑筋を収縮させ内尿道括約 筋を緩め排尿させます。この排尿反射の中枢が脊髄・腰髄・仙髄にあるので、この部位の障害が排尿に影響するわけです。

 手足の障害には排泄障害が隠れていることがあります。特に高齢男性には前立腺(肥大症・癌・炎症など)という厄介な臓器があリ、多彩な排尿障害を生じます。逆に女性では尿失禁の傾向が出てきます。徐々に排尿のシビレの来ている人では、本人が無症状・単純な老化と思っているうちに頻尿・尿失禁・残尿感・排尿困難(尿線が細い、尿の出ている時間が長い)等が隠れていることがままあります。

    ●頻 尿:日中の排尿回数は10回以上、夜間(8時間)で2回以上の排尿。
    ●尿失禁:意識せず、尿が漏れ出ること・・腹圧性と切迫性があります。
    ●残 尿:排尿したあと、出来らない尿が膀脱にある状態 (50ml)以上は病的・・超音波検査
    ●排尿困難:尿の出始めから終わるまで・・男性は40秒以上かかること。

 などがありましたらご相談ください。(入院患者さまのみの対応となります。)

PAGE TOP