症状ごとの治療法・治療例

「骨粗鬆症とロコモティブ症候群の関係」

 骨粗鬆症の診断は、以前はレントゲンのみで行われていましたが、現在では様々な方法が存在し、最近では骨折するリスクのある部位を測定することが最も重要と認識されるようになってきております。私どもの施設で行 っているDEXA法が、骨粗鬆症が原因で骨折する頻度の高い脊椎と股関節を測定できる最も有益な方法とわかってきました。
 「骨粗鬆症と診断された場合には、食事や運動などの指導も重要ではありますが、今日最も推奨されているのは薬物療法です。薬物療法の先行した国では、実際に骨折患者が減ったという結果も報告されています。 
 骨粗鬆症で骨折を生じやすくなることは既に皆さまご存知のことと思われますが、その後に寝たきり状態へと移行する原因であるという認識はあまり高くはないようです。ロコモティブ症候群という概念が生まれたのは、このような寝たきり状態の患者を減らそうと、転倒し易さを筋力や歩行状態の改善さらには脊椎圧迫骨折の減少により減らそうとしたところから考案されたものであります。 
 骨粗鬆症による骨折は橈骨、大腿骨、脊椎で生じますが、まず初めに骨折する可能性が高いのは脊椎です。脊椎を骨折すると、体の重心が前方に移ります。そのままでは前につんのめってしまうため、歩行時の姿勢は無理して上体を起こすようになり、そのため、かかとに重心が移動します。すると、歩行は不安定となり転倒しやすくなり、 大腿骨骨折や手首を骨折する危険性が増すことになります。つまり、脊椎の骨折を予防するとそれに続く大腿骨などの骨折も予防できます。 
 薬物療法や筋力の増強により寝たきりの状態の患者さんを少なくして社会全体の負担が減らすことが、今整形外科医に求められています。 
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