症状ごとの治療法・治療例

成長期の腰痛 腰椎分離症

 部活をされているお子さんで練習時には腰が痛いけれど、普段はなんとも無いというようなことはありませんか?運動を一生懸命やっておられて急に腰が痛くなったという、10代前半の成長期のお子さんが外来を受診されることがあります。最近は小学校でもサッカーやバスケット、野球と、かなり本格的に部活の練習をしているため、より年少のお子さんが腰痛を訴えてきている印象があります。症状が強い場合にはレントゲン撮影をしますが。その際に「腰椎分離症」がみつかることがあります。
 腰椎分離症とは、腰を捻り反る動作を何度も繰り返して起こる、腰の骨の疲労骨折が原因のひとつとされています。腰椎に疲労骨折を起こしやすい何らかの素因を持っている小学生から中学生が無理してスポーツ活動を行った場合に生じる事が多く、少々腰痛が生じてもスポーツを続ける事ができるため、痛みが強くなってから受診される方が多い印象です。
 レントゲンやCT、MRIの総合的な判定結果によって、骨の癒合が可能であると判断された場合には、ご本人やご家族に同意を得て、外固定療法(硬いコルセット)による治療を行います。かるいジョギング程度は問題ありません。早期であれば、この治療で70%の方が骨がくっつくといわれています。
 しかし、疲労骨折まで起こしてしまう選手は一生懸命練習している主力選手である事が多く、痛みを我慢して試合や練習を続けてしまい、残念な事に骨がくっつく時期を逃してしまってから来院される方がいるのも現実です。
 ただ、分離症になっても日常生活に困るまで症状が進行することは少なく、体幹や大腿後面の柔軟性、体型の維持(太りすぎない、ということですね)によって分離症が分離すべり症に移行する可能性を低くできます。残念ながら青年期以降に分離すべり症になり、慢性腰痛・下肢の痛みやしびれなどの症状が出てきた場合には手術による治療が必要ば場合もあります。
 根性では腰痛は治りません。ご家族の方もこういう疾患があるということを知ってもらい、我慢させずに早めに外来受診をお願いしたいと思います。
PAGE TOP