症状ごとの治療法・治療例

「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」を知っていますか?

 1歩歩くごとにかかとにずきずきする痛みがある。こんな症状のある方はいらっしゃいませんか? その症状は、「足底腱膜炎」によるものかもしれません。
 足底腱膜は踵骨隆起の内側突起から足底をおおう構造物です。歩行時に足の指の関節が伸びて広がると、足底腱膜は 緊張し踵骨付着部に大きな張力がかかります。
「足底腱膜炎」は、組織学的には腱膜そのものの炎症と言うよりは腱膜 起始部の変性が原因となって生じます。よくかかとの痛みを指摘されて受診される方もいますが、踵骨の起始部に認められる「踵骨骨棘」は足底腱膜の深層にあるので足底腱膜炎の原因とはならないと考えられています。 診断には、皆さんの仕事の内容(立ち仕事かどうか)、スポーツ活動歴、体重の増加(体重増加は誘発される原因の 一つです)、症状が出る前の歩行距離の増加、靴の変更などをお聞きします。
 「足底腱膜炎」は、朝起きた時の歩き始めの数歩の強い痛みが特徴です。多くは片側性で、両側例は20~30%程度 です。痛みは日中には軽くなりますが、長期化すると常に痛みを感じます。 90%程度は保存的治療で改善します。しかし治癒まで数ヶ月から 1年近く長期を要する方もいらっしゃいます。
  治療はまずスポーツや労働の内容を変更し、負荷を軽減します。運動選手では走行距離の短縮やジャンプの休止を指示します。痛みが強い場合は鎮痛消炎剤の内服やギプス固定も有効であると報告されています。足底腱膜のストレッチは初期治療の柱です。足関節を背屈した状態で足趾を伸展させ10秒間足底腱膜を伸張させます。これを1回10セットとして 1日3~4回行います。足のアーチを保持し扁平足を改善する足底板やかかとの衝撃を吸収するヒールカップなどの装具も有効です。ステロイドの局所注射は短期的には有効ですが、腱膜の断裂や脂肪体の萎縮などが問題となりますので 頻回の注射は避けるべきです。
 このような症状で気になる方や、普段の生活に支障があるような方は、受診をおすすめします。 
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